雑記帳

DDの観劇感想だったり日常のあれこれだったりを書きます。本当に節操無しのDDです。

【感想】テイルズ オブ ザ ステージ–最後の預言(ラストスコア)-

初めに

・原作はPS2版のみプレイ済み

・テイルズ オブ フェスティバル 2017のプレビュー版観劇済み

・原作ファン目線じゃなくて割と舞台ファン目線

 

チケットについて

 まずそこから?という感じかもしれないけれど、これについて書いて昇華させないと平静を保って本編について書けないので申し訳ないけどお付き合い下さい。

 そもそもこの舞台、テイルズ オブ フェスティバル 2017(以下フェス)の1日目に開催されていた。私は本当に楽しみにチケットを取っていて(これについてのチケットはスムーズに取れている)、どう纏めるんだろうねなんて友人と話していたのだけれど、蓋を開けてみれば途中でいきなりダイジェストモードに入り、最後まで描く完全版を9月にやります!なんていう肩すかしにも程がある終わり方をした。

 それだけなら良かったのだけれど、チケットをフェスの2日目、3日目に販売すると発表したのだ。詳細が分からなさ過ぎて担当者に質問したけれどたらい回しにされること1時間近く、やっと責任者みたいな人から聞けた内容が以下。

・センターブロックの1列から販売

・抽選先行販売のチケットはフェスで売った後の席が割り振られる

・チケット先行販売は会場内で行う=フェス当日分のチケットを持っていないと買えない

 いやこれ酷くない?正直申し訳ないけれど舞台に興味があっただけなので2日目、3日目のチケットは持っていなかったし入手できなかったし(実際公式も発表しなかったので当日買いに行ってみたらチケットなくて買えなかった方もいた様子)1列目はあったとしてもサイドってことが確定している抽選先行って楽しみの欠片もない(ちなみに客席降りもあったけどまあ降りたのはそのフェス販売分エリアのみっぽいところでしたね)。

 そんなわけで私のモチベーションは始まる前にマイナス方向に振り切れていた。

 ついでに言うと質問に答えてくれた責任者っぽい担当がニヤニヤしながらポケットに手突っ込んでこっちの質問に答えていたのも社会人としてどうなの?ってキレたんだけど、そのときには疲れ果てていて所詮この程度の人が作る舞台なんだろうな…ってそこでも期待値は下がった。

 

舞台について-良かったところ

 ここから切り替えて舞台について書きたいと思います。

 何よりルークとアッシュを演じられた岩城さん、新井さんがそのまま鈴木千尋声を出していたこと。他のキャストさんも原作に寄せられていたけれど、このメイン2人が飛びぬけて声の再現度が高かったです。次点でガイ役細川さん、イオン役高橋さん。ここら辺が頭一つ抜けていただけで、他の方が良くなかったとかそういうことではないです。モースが凄い好みだったんですけど、正直どんなキャラか記憶が曖昧だったのでなんかこの舞台モースが正解なんだ!!!!!っていう変なテンションになってました。衣装についてはお金掛かってるな~という印象。ルークはまあもともとのキャラデザ的にしょうがないところがあるけれど、他のキャラのウィッグとか、衣装、武器については原作イラストをうまく三次元にしていたと思います。

 舞台は映像を上手く使っていて、現在地の地図とか技を出したところでエフェクトを表示させたりしてました(上演時間の三分の一くらい暗転したままでしたけど)。フェスのときはキャラをカメラが追って客席が無修正でガンガン映る仕様だったんですが無くなってました。良かった。

 開幕にカルマでキャスパレ→本編開始の流れでしたが、キャスパレもう鳥肌でした。ルークとアッシュが向き合う演出だったり、軽やかに踊る彼らの衣装がひらひらと舞う様子がなんだかえらく心に来て、ああーあのキャラが三次元にいるんだなーなんて2.5次元舞台観に来てるんだから当たり前のことを思って感動しておりました。

 本編で一番感動したところはルークとアッシュ一騎打ち…だと思ってたんですけど、イオン消滅のシーンでした。アニス役甲斐さんの慟哭がもう凄くて凄くて…ぎゅーって胃が握られる感じの…アニスちゃんなんだかんだ言って13歳なんだもんな…っていう、子どもが駄々をこねる泣き方叫び方に、気が付いたら泣いていました。逆に一騎討ちでなんで泣けなかったのかが自分でも良くわからなくて色々考えてみたんですが、多分アッシュがもう達観してしまってるように受けとれてしまったからかな、と思いました。新井さんのアッシュは既に色々受け入れて諦めていて、あとほんの少し納得できない部分を解消するため、後はルークに覚悟と意味を与えるために一騎討ちに臨んでる気がして。泣く感動というよりは後からじわじわ苦しくなる感じの感情。なので泣けるとかそういう意味ではイオン消滅シーンの方に感動したのかな、と思いました。

 あとはキャラに合った殺陣がつけられていて、剣メイン武器のキャラはまあ分かるけど、魔術メインのキャラとかどうするんだろうと思っていたら完全に杖で殴りにいっていてなんか笑ってしまい…それでも違和感なく演出していたのは凄いなあと思いました(ちゃんと要所要所で術っぽい演出はありました)。

 

舞台について-悪かったところ

 キャストさんはあんなにいいのに他が色々足りなさすぎる印象でした。

 ステージセットは可動式の階段付きの台が2機あってそれを色々動かしていたんですが、本当にそれだけでした。別にステージセットが凝ってないとだめ!!!とかいうつもりはないんですけど、進行上色々なところに訪れるのにセット構成がワンパターン過ぎてちょっと分かりづらいなーと思ってしまったんですよね…。

 内容については本当にもうちょっとどうにか上手くまとめられたんじゃないかなあと思いました。一応フェスで途中まではやっていたわけだし、きっとそこはさらっと流して続きからやってくれるんじゃないかな?なんて話していたんですけど、いざ開演したらもう一回最初からやり始めたんですよね。多分フェスと台本演出全く一緒だったんじゃないかなと思いますし、そこもなんだか…もう1回やるならちょっと工夫してほしかったです。あと一番どうにかなったんじゃない?いる?って思ったのがヴァンの演出でした。ヴァンが登場するたびに謎ダンス繰り広げるんですけど(ダンスは凄い上手い)それが毎回5分以上尺を取っていて、あれヴァンってこんなダンサブルなキャラだっけ…?ってなりました。今回2時間半くらいの公演で、1時間でルーク断髪くらいまでしか進まなくて、残りの部分を1時間半で駆け足で詰め込んだ状態だったんですが、その中だとヴァンの尺がどうしても本当に必要だったのか?と感じてしまった次第です。

 原作が10時間単位でのプレイを元にしているからしょうがないところはあるかと思うんですが、どうしてもストーリー展開が超特急なんですよね。そうなるとキャラの感情の振れ幅も物凄く激しくて、完全に情緒不安定集団というか…仲良しムードからの掌返しが早すぎる感じで、観ていてあまり感情移入できませんでした。途中からルーク可哀想だよなあという目線でしか観れなかったです。

 

終わりに

 多分この舞台、原作をプレイしたことのある人、テイルズを好きな人が対象で、キャストファンとか観劇趣味の原作に対しての興味がライトな層に向けて作った舞台じゃないんだと思います。製作が保険をかけてあえてそういう作りにしたのか、そういうつもりはなかったけれどそういう作りになってしまったのか真意は分かりませんが、あくまでテイルズファンのための新展開という感じで、舞台から新規のファン層を獲得するつもりは無かったんだろうなと感じました。もし獲得を狙っていたのであれば多分この舞台の製作方法では無理だと思います。個人的に、自発的にしたい!と思うならともかく、予習復習を必須でしていないと内容理解に支障が出る舞台で新規層開拓は難しいかと…。

 チケットの売り方から運営の在り方から舞台構成から、文句をあげればきりがありませんが、楽しかったは楽しかったです。次回はアビス番外編の完全新規ストーリーのようなので、むしろここでどう作ってくるかで今後の『テイルズ オブ ザ ステージ』としての流れができるんじゃないかなと思いました。

 次回作はチケットを公平に発売してくれたり物販が全部売り切れなんて事態にならないようにしてくれたり意味が分からない内容になってなかったり公演が平日だけじゃないようにしてくれたりキャラクターに対して悪印象を持たない作りになっていたらいいな、と思いつつ、今後も機会があれば観に行ってみたいとは思います。

 

 でも正直この運営に自分の好きなテイルズは舞台化してほしくないなーと思いました。